【ネタバレ有り】知念実希人『ムゲンのi』を読んだ感想・あらすじ
どうも皆さんこんにちは、ぴょん吉です!
年末いかがお過ごしでしょうか。僕は社会人になって久しぶりの長期休暇なので、Amazonプライムでアニメと海外ドラマを観まくって、隙間時間に小説を読みまくる予定です。
もし、皆さんの中で正月の間暇してやることないって方がいれば、ぜひこちらの小説を読むことをオススメします!
『ムゲンのi』知念実希人
この作者さんの作品はいくつか読んだことがありますが、どれも面白くて全くハズレはありません!
なので今回はほとんど予備知識なしで読み進めていきました。
以下、ネタバレを若干含みますので、見たくない人はすぐにオンラインでポチるか、ページを閉じて本屋に直行してください。
~あらすじ~
主人公は、とある神経病院に勤める『識名愛衣』という女性の医師です。そこには『イレス』と呼ばれる昏睡状態に陥ったまま目を覚まさないという原因不明の昏睡が続く患者が4人入院しています。
愛衣はその4人のうち、3人の主治医なのですが、有効な治療法も確立されていないため、主治医として何もできないという状況が続いていました。
そこで、気分転換も兼ねて実家に帰省した愛衣は、そこに住む祖母から不思議な話を聞きます。
祖母はなぜか愛衣の置かれている状況のことを知っており、イレスにかかった原因や、それを治す方法を愛衣に伝えます。
何でも『マブイ』いわゆる『魂』が何らかの理由で吸い取られたことにより『イレス』になり、それを治すには吸い取られた『マブイ』を再び持ち主の体に返す『マブイグミ』を行えば、目を覚ますということです。
祖母は元々沖縄で『ユタ』という、霊能力者の力を使い悪霊を祓ったり、病気を治した過去があったそうです。そして、孫である愛衣にもその力が備わっているということになります。
いかなり現実とかけ離れた話をされた愛衣はもちろん戸惑いますが、それでも半信半疑で祖母から教えられた通りの呪文を唱えたところ、突如見知らぬ世界へ飛ばされてしまいます。
愛衣はその謎の世界で『ククル』という、うさぎの耳を持った猫に出会いました。『ククル』は本人の『マブイ』を映し出した鏡のような分身のような存在です。
『ククル』が言うには、ここは『イレス患者』の夢の世界、『夢幻の世界』と呼ばれている世界らしいです。そこは『ユタ』の力を持つ人間だけが入れる世界で、この世界で『マブイグミ』をすることにより、昏睡状態の患者を救うといった流れになります。
『マブイグミ』をするためには、まず患者の『ククル』を見つける必要があります。『ククル』を見つけ、患者の記憶をヒントに傷ついた『マブイ』を癒す『マブイグミ』を行います。
愛衣には3人の『イレス患者』がいるため、3度『夢幻の世界』に入ることになります。その世界というのが、「光球と闇の世界」「動物の夏祭りとのっぺらぼうの世界」「ピアノの鍵盤の世界」と言ったふうにいかにもファンタジックな世界ばかりです。
『マブイグミ』を行うにつれて成長していく愛衣。そんな中、患者の記憶を観ているうちに、全く他人同士だと思っていた3人の患者に、繋がりがあったことに気づきます。
序盤のファンタジーな雰囲気から一転、ミステリー要素が色濃くなる展開に変わります。
実は愛衣自身も、辛い過去を経験しており『マブイグミ』を完遂させることが、過去を乗り越えることに繋がると『ククル』から諭されていきます。
愛衣が『マブイグミ』を行っているのと並行して、現実世界では『少年X』という名の連続殺人犯が世間を賑わせていました。
見事3人の『イレス患者』を救うことに成功した愛衣は、その3人の記憶から、『イレス』に陥った原因に『少年X』が関わっていると考え始めます。
それは愛衣にとっても深く関わっていることでもあり、いつかは克服しなければいけない過去でもありました。
病院に4人いる『イレス患者』の中で、残っている最後の1人。その人こそ『少年X』なのではないかと愛衣や警察は疑いの目を向けます。
ここまでが大体下巻の半分ぐらいになります。
そこから先はもう怒涛の展開が続き、時間も忘れて一心不乱にページをめくり続けました。
ミステリーとファンタジーの融合とはまさにこのとこを言うのだと思います。
ただのミステリーではなく、この作品のテーマは、タイトルや主人公の名前にも入っている『愛』なのではないかと感じました。
その中でも特に家族の『愛』。
『愛』は人から人へと渡り、その人の中で永遠に残り続けるもの。
人との繋がりの大切さを教えてくれた作品でした。
1度読み終えても、要所に散りばめられた伏線を見つけるために、ついもう一度読み直したくなります。
ぜひこの正月期間に読んでみてはどうでしょうか。
ではでは( ´・・)ノ